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画 風

極端な言い方をすれば、奈良絵本の画風には精密なもの/稚拙なものの差が顕著です。
たとえば人物の描き方を見ると、古色を帯びた絵には次のようなものがあります。
  
 このように引目鉤鼻(ひきめかぎばな)となっていて、後頭部の描写が小ぢんまりしています。有名な『源氏物語絵巻』を想起する人も多いことでしょう。
 これが江戸前期の奈良絵本の典型的な画風になると、次のようになります。
  
 粗雑さは見てとれますが、基本的な描き方は変っていないでしょう。ちなみに真横を向くと鼻がなくなります。これは同じ時期の版本挿絵と共通します。
 ともかく、稚拙さは否めないものの、古い奈良絵本によく見られる描写は江戸時代に下って、本のかたちからすると、横型本、それから縦型でも半紙判とよばれる高さ20センチ程度の奈良絵本に受け継がれていくようです。
 
 その一方で、江戸時代に入ると、奈良絵本の中に丁寧に精密な描き方をするものがでてきます。本のかたちからすると、半紙判サイズのものから特大本とよばれる高さ30センチあまりの作品にしばしば見られます。それらは装丁といい、紙の質(しばしば下絵が描かれていたり、唐紙のような装飾がほどこされています)といい、文字の美しさといい、高品質のものです。中でも大型サイズの奈良絵本を豪華本と呼ぶことがあります。
 なにぶん豪華なしろものなのですから、手許に掲載OKのサンプル画像がありません。すみませんorz。なんとか左に女性像を挙げておきますので参考になればと思います。

 特徴としては装束や室内装飾が精緻であること、それらに金泥の細い線を多用していることが挙げられると思います。また、目を描くのに、引目ではなく、眼球と上まつ毛を描き分けていること、頬を赤い顔料で塗っていること(庶民の男は除く)もしばしばみられるところです。
 この種の画風に近いものは、同時期の物語を題材にした絵巻物に多く見られます。たぶん制作に関わった人々が同じだったのだろうと思います。よくわかりませんが…。



 なお、構図は吹抜屋台(ふきぬけやたい)が基本です。この点、画風の精粗は関係ありません。同時期の版本挿絵も同じです。